社員・役員の給与の変動
社員・役員の給与が大幅に変動したとき
報酬月額変更届
報酬月額届(随時改定)のための条件
- 昇給・降級等で固定的賃金に変動があった
- 例:
- 基本給のアップ(ダウン)
- 役職手当がついた・増額した(なくなった・減額した)
- 家族手当がついた・増額した(なくなった・減額した)
- 住宅手当がついた・増額した(なくなった・減額した)
- 日給制から月給制に変わった。
- 時給や日給の額が変わった。
- 固定的賃金(支給額・支給率が決まっているもの)の例
- 月給・週給・日給・時給・家族手当・通勤手当・住宅手当・役職手当
- 非固定的賃金(実績によって額の変動するもの)
- 残業手当・精勤手当・能率手当
- 非固定的賃金の変動だけでは、報酬月額変更届の対象にはなりません。
- 例:
- 変動月から3ヶ月間に支払われた報酬・賃金(残業手当等の非固定的賃金も含みます)を合計し、その平均額が属する標準報酬月額と、従前の(変動前の)標準報酬月額との間に2等級以上の差が出た。
- 変動のあった月の報酬支払基礎日数(≒労働日数)が、3ヶ月全部とも17日以上であること。
- 例:
9月 10月 11月 12月 1月 2月 基本給 180,000円 195,000円 195,000円 195,000円 195,000円 195,000円 家族手当 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 通勤手当 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 残業手当 5,000円 15,000円 13,000円 18,000円 15,000円 16,000円 合計 205,000円 230,000円 228,000円 233,000円 230,000円 231,000円 標準報酬月額 200,000円 200,000円 200,000円 200,000円 240,000円 240,000円 保険料 変動なし 保険料アップ 保険料アップ 天引きされる保険料 従前の保険料 新保険料
1月分保険料を2月分給料で天引き- 10月分給料合計(230,000円)
11月分給料合計(228,000円)
12月分給料合計(233,000円)
3ヶ月分合計=691,000円- 691,000円÷3=230,333円(円未満切捨て)
- 230,333円の該当する標準報酬月額は240,000円
- 240,000円は標準報酬等級の健康保険19級・厚生年金15級
- 従前の標準報酬月額200,000円は健康保険17級・厚生年金13級
- 従って2等級以上の差が出たために、変動4ヶ月目である1月から新等級である健康保険19級・厚生年金15級(標準報酬月額240,000円)に改定。
- しかし、新保険料は、改定月である1月の翌月から反映されるので、2月の給料から天引きされます。
- 改定月と保険料が実際に給料に反映される月が1ヶ月ずれます。
- 10月分給料合計(230,000円)
変動月から数えて5ヶ月目に保険料の変動があります。
- 3ヶ月間の変動が最低条件ですが、
- 4ヶ月目に標準報酬月額の改定
- 5ヶ月目に給料から天引きされる保険料に反映されます。
- 要するに、給料に反映されるのには、最低5ヶ月かかるということです。
新標準報酬月額は翌年の8月まで
- 改定された標準報酬月額は、新たに改定がなければ、翌年の8月まで有効です。
⇒給料から天引きされる保険料に反映されるのは、9月分の給料まで。 - 新たに報酬月額変更届の対象となった場合には、その新標準報酬月額をもとに、保険料が改定されます。
段階を踏んで2等級以上の変動
- 基本給のアップ(ダウン)だけでは1等級の変動しかなかったが、その後固定的賃金の変動により2等級のアップ(ダウン)になった場合。
- この場合にも、報酬月額変更届の提出が必要となります。
- 例:
いつまでに?
3ヶ月の給与の変動があった後速やかに
どこへ?
会社を管轄する年金事務所(社会保険事務所)へ
添付書類
原則
- 添付書類は無し。
改定月の初日から起算して60日以上遅れた場合の添付書類
例:
「4月・5月・6月」と3ヶ月連続して給料の変動があった場合は、7月が改定月となります。従いまして、改定月の初日は7月1日ですから、7月1日から60日以上遅れた場合というのは、8月29日ですので、8月29日以降に、「4月・5月・6月」の報酬月額変更届を年金事務所へ提出する場合には、以下の書類が必要です。
- 出勤簿
- 変動期間分3ヶ月分の出勤簿
- 「4月・5月・6月」と、3ヶ月連続して給料の変動があった場は、「4月・5月・6月」の出勤簿
- 変動期間分3ヶ月分の出勤簿
- 賃金台帳のコピー
- 変動前の給与のわかる賃金台帳(上の例ですと、3月分)
- 変動があった3ヶ月間の給与を証明する賃金台帳(上の例ですと、4月分・5月分・6月分)
- 合計4ヶ月分:変動前の賃金台帳1ヶ月分と変動期間の賃金台帳3ケ月分
従前の標準報酬月額よりも、標準報酬月額が5等級以上、下がった場合。
- 賃金台帳のコピー
- 変動前の給与のわかる賃金台帳(上の例ですと、3月分)
- 変動があった3ヶ月間の給与を証明する賃金台帳(上の例ですと、4月分・5月分・6月分)
- 合計4ヶ月分:変動前の賃金台帳1ヶ月分と変動期間の賃金台帳3ケ月分
- 標準報酬月額が5等級以上、上がった場合には、添付書類は不要ですが、念のために変動前の給与と変動後の給与を証明するもの(=賃金台帳のコピー等)を添付することをおすすめ致します。
役員の場合の報酬月額変更届
- 役員の場合も社員と同様に報酬月額変更届を行いますが、添付書類が違ってきます。
役員の場合の報酬月額変更届の添付書類
- 役員報酬を増額・減額したことのわかる取締役会議事録
- できれば、賃金台帳のコピー
- 変動前の給与のわかる賃金台帳
- 変動があった3ヶ月間の給与を証明する賃金台帳
- 合計4ヶ月分:変動前の賃金台帳1ヶ月分と変動期間の賃金台帳3ケ月分
- できれば、出勤簿
- 変動前の給与期間分の出勤簿
- 変動期間分3ヶ月分の出勤簿
- 合計4ヶ月分:給与変動前の出勤簿1ヶ月分と給与変動期間の出勤簿3ケ月分
- 例:
10月 11月 12月 1月 2月 3月 基本給 160,000円 184,800円 184,800円 184,800円 184,800円 184,800円 通勤手当 2,500円 2,500円 2,500円 2,500円 2,500円 2,500円 合計 162,500円 187,300円 187,300円 187,300円 187,300円 187,300円 標準報酬月額 160,000円 160,000円 160,000円 160,000円 190,000円 190,000円 保険料 変動なし 保険料アップ 保険料アップ 天引きされる保険料 従前の保険料 新保険料
2月分保険料を3月分給料で天引き- 10月分給料合計(230,000円)
11月分給料合計(228,000円)
12月分給料合計(233,000円)
3ヶ月分合計=691,000円- 691,000円÷3=230,333円(円未満切捨て)
- 230,333円の該当する標準報酬月額は240,000円
- 240,000円は標準報酬等級の健康保険19級・厚生年金15級
- 従前の標準報酬月額200,000円は健康保険17級・厚生年金13級
- 従って2等級以上の差が出たために、変動4ヶ月目である1月から新等級である健康保険19級・厚生年金15級(標準報酬月額240,000円)に改定。
- しかし、新保険料は、改定月である1月の翌月から反映されるので、2月の給料から天引きされます。
- 改定月と保険料が実際に給料に反映される月が1ヶ月ずれます。
- 10月分給料合計(230,000円)
変動月から数えて5ヶ月目に保険料の変動があります。
- 3ヶ月間の変動が最低条件ですが、
- 4ヶ月目に標準報酬月額の改定
- 5ヶ月目に給料から天引きされる保険料に反映されます。
- 要するに、給料に反映されるのには、最低5ヶ月かかるということです。